NEWS / リレーエッセイ
2023.03.24

三寒四温 ~こころをつなぐリレーエッセイ~【2023年3月号】

三寒四温 ~こころをつなぐリレーエッセイ~【2023年3月号】

今月のエッセイは、当事者でありコミュニティ活動実践サポーターで大活躍中の前田恒夫さんです。当事者ご自身の熱い想いや取り組みについて、前編・後編の2回に分けて語っていただきます。
※後編は5月に公開を予定しています。

“当事者からの情報発信の意義”とは(前編)

今回は、“当事者自身の想いや社会活動等の情報発信の意義”について、2回に分けて考えてみたいと思う。
実は、昨年12月、「横浜市認知症カフェフォローアップ研修」の当事者(軽度認知障害)講師として登壇の折、参加者の皆さんとの“意見交換のグループワーク”に参加する機会があった。その時、私に寄せられた28件のコメントから、次のような“貴重なフィードバック”があった(意見の多かった順に列挙)

  1. “当事者の声(気持ち/葛藤)の開示”は心に響く、“説得力”があり、たいへん“貴重”!
  2. 当事者の“プライドや拘り”を尊重!/“優しく”接し、時には“褒める/認める”!
  3. 自分の“できる事”で“地域社会の役割”を担い“役立つこと”で“元気”に!
  4. “当事者からの情報発信が“認知症への誤解/偏見を払拭する“のに一番の方法”!
  5. “当事者の情報発信を引き続き続けて”欲しい!
  6. 認知症は地震や台風と同じく“予防できない”ので、日頃からの“備え”が大事!
  7. “前向きな行動”が、いろんな“幸運な出会いに”繋がる/“自らドアを開ける”ことが大切!
  8. あってもなくても、みんなが笑顔で集える認知症カフェめざして!

では、当事者からの情報発信の現状はどうだろうか?
実は、2021年11月、まちかどケアの三寒四温エッセイ投稿依頼があった折、初めての投稿機会だったので、当時の投稿事例を参考にしたくて、過去3年間位さかのぼって検索してみたところ、当事者投稿事例は僅か“1件” のみで、“殆どが支援者”という実態に驚いた。
同時に、もっと当事者の悩みや想い、できること等を伝えたい動機に駆り立てられ、以下、3回の投稿に至った。

  1. 不安を越えて(2021.11.29)
  2. “寄りそう”とは(2022.04.27
  3. “工夫の愉しみ”(2022.09.27)

さらに3年目を経過した今(通算6年目)でも、私を除き当事者の投稿は、僅か“1件”のみで、相変わらず“支援者側からの投稿が圧倒的に多い”のが実態である!そこで、当事者としての私の投稿が過去3回に続き、今回で4回目の投稿と至った次第である。

本来、支援者は当事者の“想いや困りごと”に“真摯に耳を傾け”、当事者自身に“決めさせる”ことが“重要”である。
実は、“認知症カフェ等”で、“元気な当事者”の方々とお会いする度に、是非、情報発信して欲しいと思う昨今である。
では、なぜ、これ程までに“当事者からの投稿が少ないのだろうか?” おそらく、以下の2点の可能性が考えられる:

㋑当事者自身に、“認知症に特化した三寒四温”のエッセイ”のような情報発信の機会が“知られていない”可能性
㋺支援者側が“当事者の本音(サポートして欲しいことや自分にできる事)を聴きだせていない”可能性

では、その“背景にある課題は何か”について、次回(後編)、掘り下げて考えてみたいと思う。