三寒四温 ~こころをつなぐリレーエッセイ~【8月号】
今月のコラム執筆は、認知症の人と家族の会 神奈川県支部」の渡辺久江さんです。
ご主人の介護経験を社会に役立てようと、「認知症カフェ花花」の運営をはじめ、様々な活動をなさっています。
「介護体験を生かした支援活動が生きる糧に!」
認知症の初期、理解力も判断力もあり、不安と恐怖は並大抵なものではなく、消えていく記憶、変わりゆく自分の事がよく分かっていて、本人が一番辛い時期です、人格が失われていく過程を直視しながら見守って、その現実に気が付かない様にかばいながらの配慮は辛いものです。
発症からわずか3年で人生のコントロールができなくなり「生きていくのが怖い、死なせてくれ」が口癖になっていました。アルツハイマーと診断された時から何の迷いもなく夫の介護を優先した10年間の生活は、私にとって人生最大の勉強の場でした。いろいろな症状を対処しながらの介護は、体力、忍耐、ストレスとの闘いでした。
そんな時、地域ケアプラザの職員に声をかけられ、いろいろな情報を教えて頂きました。直ぐに介護認定を受けた時はすでに要介護4でした。ご家族が「もしかしたら認知症かも?」と思われたら、すぐに近くの地域ケアプラザ(地域包括支援センター)にご相談をお勧めします。利用できる様々な制度を教えて頂くことができます。
夫の介護中の辛い思い、悲しみ、悩み「長生きしてもらいたい」でも介護からも逃れたい」、やり場のないモヤモヤ、様々な感情を表にだせず、から元気でいる。そういう方は私の他にもいるかと思います。このような思いから介護家族だから分かる事、在宅介護から学べた事を、認知症の家族の方の役にたてればと、認知症カフェの立ち上げ、介護家族の集い、啓発活動やいろいろな活動に参加するようになりました。
認知症の本人や家族に対して正しく理解し、偏見を持たない温かい目で見守れる地域をと、願うばかりです。