三寒四温 ~こころをつなぐリレーエッセイ~【12月号】
今月のエッセイは、市民セクターよこはま職員の小菅聡一郎よりお届けします。
横浜市内に留まらず全国の認知症カフェ情報ならお任せあれ!「認知症カフェサポートデスク」担当として皆さんをサポートします!
空気のような「まちかどケア」
「まちかどケア」って良い言葉ですね。ええ、このホームページの名前のことです。担当者になって半年ほどになりますが、実はとても気に入っています。
だって「まちかど」って横浜っぽいじゃないですか。
都会的でロマンチック。これは間違いありません。日本中、世界中からいろいろな人が集まるコスモポリタンなイメージ。まさに「まち」。
そしてそこに暮らしがある。大勢の人々が通り過ぎるのではなく、出会ったり交わったり(たまにぶつかったり)するイメージ。それが「かど」。
日本中を見渡しても「まちかど」という言葉が似合う都市は横浜くらいでしょう、と言ったら自意識高めですか、他市のみなさん(笑)?
一方で「ケア」はちょっとわかりにくい概念ですね。ぴたりとくる訳語がないのでカタカナのまま使われてきました。介護や看護に通じる言葉なのでどうしても奥ゆかしくて専門的なイメージがつきまといます。
しかし最近では「奥ゆかしくて専門的なままではいけない」と言われはじめました。そして登場したのが「地域包括ケア」という新語。施設や病院の中だけでなくあらゆる場所に「ケア」を広げていこうという理想です。理想はよくわかるのですが、うーん、立派すぎるし堅すぎる。まじめな雰囲気の会議で決められたに違いありません(想像ですが)。
その点「まちかどケア」という平易な言葉には、「ケア」がみんなのものになるような良い予感があります。奥ゆかしさや専門的なイメージは薄まり、あらゆる場所にありながら都会的で押しつけがましくない感じというのでしょうか。そう、まるで空気のように。
かつて訪れた認知症カフェでこんな言葉を聞いたことがあります。「良いケアが行われている場では、だれもそのことを気にしない」。実に哲学的ですが、そういうことなのでしょう。
どこにでもある、でも誰も気にならない「まちかどケア」。やっぱり良い言葉だなあ。
※プロフィール
小菅 聡一郎
カメラマン、ジャーナリストとしての活動を経て、2022年夏より市民セクターよこはま職員となる。認知症カフェサポートデスクなどを担当。