三寒四温　～こころをつなぐリレーエッセイ～【2023年11月号】

今月のエッセイは、若年性認知症当事者の方に、匿名で診断までの経緯と症状について語っていただきました。体調に無理のないペースで、何度かに分けて書いていただく予定です。

私が若年性レビー小体型認知症と診断されるまで

その診断名がつくまで、色々な病気を患っていました。今思えば、それはもうレビー小体型認知症という深い霧の中へ一歩ずつ足を踏み入れていたのかもしれません。

心身の異常に気付いたのは2020年9月のことです。頭痛、眩暈、耳鳴り、嘔気、聴力低下からメニエール病と診断され耳鼻科で治療を受けました。更に、睡眠障害や全身倦怠感、腹部症状、物忘れ、幻視（当初は霊感が強いと信じていました）、軽度抑うつ状態といった症状が現れ、脳神経内科クリニックを受診したのが2021年1月上旬でした。

診断名は慢性片頭痛で治療が開始されましたが、なかなか合う薬が見つからず、症状も悪化しました。物忘れが多くなり、医師に相談しましたが、薬剤による一過性の認知機能障害だという説明でした。

しかし数か月経過観察を続けましたが、認知機能障害は良くならず、クリニックの医師から他の病院の脳神経内科を紹介してもらいました。2021年12月下旬に受診し検査を受け、そこで初めて「若年性レビー小体型認知症」と診断が下されました。
「完治はしません。根本的治療もありません。進行抑制するための薬はありますが、個人差があります。内服しますか、しませんか。どちらにしますか。」
診断がついたことの一瞬の安堵のあと、医師の冷水のような言葉は、病気が指し示す暗闇の底へ私を突き落しました。