NEWS / リレーエッセイ
2022.06.28
三寒四温 ~こころをつなぐリレーエッセイ~【6月号】
今月のエッセイは、認知症の人と家族の会神奈川県支部 世話人の濱田さんです。
ご主人への、そして周りの方々への想いが溢れています。
認知症の夫との日々
私が《夫は若年性アルツハイマーではないのかしら》と感じてから18年が過ぎました。今は要介護5です。診断が出てから生活は激変しました。私は専業主婦なので、サラリーマンの彼の収入で暮らしていましたから、無収入になると共に介護の生活への不安が大きな心の負担でした。
しかし夫の介護や子供の成長を見守る毎日は、いつしか同年代の人達よりも一足早く迎えた老後の生活となりました。そして気づけば、穏やかだった以前の様な生活を送っていました。それは周囲の人達のお陰です。私の話し相手になってもらった友や相談にのってくださったケアマネージャー、施設の職員や家族会の人達です。友からは「経済的な事は収支を把握することが大切である」とアドバイスを貰い、施設の職員や家族会では介護の悩みを相談し公的支援を受ける事を勧められました。
思い返してみると、一番苦慮したのは夜中のトイレの事でした。毎夜トイレに起きる彼の介助。便器の前で失禁する彼のトイレの後始末。私の睡眠不足は頂点に達していましたが、介護用品の利用や彼への言葉がけで乗り切る事ができました。これは介護保険があったからだと思います。
介護は心身共に苦しみも多いのですが、私は人として成長できたのかもしれないと思っています。そして以前の夫の優しさを思い出し彼に感謝しています。又、彼が認知症にならなければ会う事、話す事も無かった人達との出会いも有りました。あの時泣いていた私も今は笑って元気に過ごしています。
皆様ありがとうございました。