三寒四温 ~こころをつなぐリレーエッセイ~【7月号】
今月のエッセイは、たまプラーザの「3丁目カフェ」を拠点に “みまもりあえる街づくり”を目指す弘瀨美加さん。リアルとオンラインが融合したイベント「ある人・ない人カフェ」から生まれたバンドについて書いてくださいました。
これ!これが私達の目指すもの!
昨年の暮れ、『ある人・ない人カフェ』での何気ない雑談の中で、「なにか一緒にやりたい」と生まれたのが、医療介護従事者、支援者、介護家族のごちゃ混ぜの『3丁目バンド』。その事を、おれんじドア・サポーターの当事者の方に話をすると、自分達も参加したいと手を挙げてくれメンバーに加わり、認知症のある方からSNS等で募集をしたリクエスト曲も集まったところで、先日、顔合わせも兼ねた1回目の練習を行いました。
初対面の方もいたりで、会の初めはみな口数も少なく、特に当事者の方々は手を挙げてくれた時とは違って、一緒に来たご家族に隠れて小さくなっているように見えました。しかし、誰かがギターを演奏し音が聞こえてくると、会場に居た人達が自然に動き出し自分の得意とするポジションについて練習が始まり、それぞれが、その曲が流行っていた頃の時代にタイムスリップして、スポットライトを浴びているかのような等身大の輝きを放ちながら、観客として見守る家族にも、楽しいを連鎖して会場はひとつになりました。認知症のあるなしなんて関係のないバンドメンバーとしての練習、誰かがペースが落ちれば周りがあわせる、失敗したらフォローをする、「これ!これが、私達の目指すもの!」
音楽というツールを使わなくても、日々の暮らしの中でもこうであるようにと、また、強く思わせてくれた、輝いた笑顔が溢れる“ある人、ない人のバンド”練習会でした。
※弘瀨美加さんのプロフィール
義理の祖父の在宅介護の経験から、地元の在勤、在住の有志と『たまプラーザ・みまもりあいプロジェクト~やさしさのエネルギーチャージ~』を結成。誰かを見守るのではなく誰もが見守りあえるお互い様の街を住民主体で作って行こう!と、『ある人・ない人カフェ』や『おれんじドア・たまプラーザ』などを開催して活動をしている。